ネットオークションについての裁判例(1)

名古屋地判平成23年3月11日LLI/DB判例秘書

事案の概要

原告は,インターネットのオークションサイトで株式優待券2枚を落札し,被告に落札料金などを支払った。その際に,原告は書留郵便による発送を希望したにもかかわらず,被告はメール便で発送した。ところが,株式優待券は原告のもとには届かなかった。そして,被告は,そのオークションサイトで原告を「悪い落札者」として評価し,「二度と取引をしたくないです。」とコメントを入れた。これに対して,原告は被告を相手取り,債務不履行及び名誉毀損に基づいて損害賠償請求訴訟を起こした。

争点

本件訴訟で争点となったのは,以下の3点である。

  1. メール便で発送することは債務不履行にあたるか
  2. 被告が賠償すべき損害の範囲
  3. 「悪い出品者」と評価し,「二度と取引をしたくないです。」というコメントが名誉毀損にあたるか

裁判所の判断

争点1.について

裁判所は,被告が株主優待券を出品する際に,その説明ページに簡易書留郵便による発送が可能であると明示し,そして,原告が簡易書留郵便を希望することを被告に伝えていることから,両者の間に簡易書留郵便で発送する旨の合意があったと認定した上で,被告がメール便で発送することは債務不履行にあたると判断した。

争点2.について

裁判所は,原告が被告に に対して「繰り返し返金を求めるために要した通信費(7680円)については,その発生を基礎付ける事実を認めるに足りる証拠がない。」とした。

そして, 「本件優待券が届かなかったことにより,控訴人【=原告】が予定していた旅行をキャンセルしたこと等により生じた損害【中略】については,いずれもその発生を基礎付ける事実を認めるに足りる的確な証拠もないし,被控訴人の前記債務不履行との間に相当因果関係があるとは認められない」とした。なお,【】内は引用者注である。

争点3.について

裁判所は,「 『悪い落札者です』との評価は,上記3段階の評価のうちの1つを記載したものにほかならず,また,「二度と取引したくないです。」との評価コメントも,被控訴人【=被告】が控訴人【=原告】との本件サイトのオークション取引を通じて形成した感想,心情を吐露したものにすぎず,表現方法も,オークションの落札者(控訴人)を評価するコメントとして,直ちに相当性を欠くということはできない。」とした。なお,【】内は引用者注である。