DVから逃れるために家を出るときの注意点

はじめに

DV加害者である配偶者,元配偶者,同棲相手から逃げる場合,転居先の新しい住所がわかってしまうと,連れ戻されて,再びDVの被害に遭うことが十分に考えられます。そして,加害者はあなたの逃走を警戒するため,再度の家出は以前より困難になります。そこで,DVから逃れるために家出をするときの注意点を説明したいと思います。

捜索願の不受理

DV加害者は,あなたが家出をしたとして警察に捜索願を出すことがあります。あなたがDVから逃れるために家を出たという事情を知らない警察は,その捜索願を受けて,あなたの居場所を探すことがあります。そのような事態を避けるためには,事前,または家出後すぐにどこでもいいので警察署の生活安全課にDV被害の相談をしましょう。その際に,もし捜索願が出されても受け付けないでほしいと頼めば,警察はそのように対応してくれます。

住民票

DVから逃れるために家を出て,別の場所に住所を移すときに,転出・転入・転居の手続はしないことをおすすめします。これらの手続を行うと,新しい住所が加害者に知られるおそれがあるからです。
確かに,DVやストーカー,児童虐待の被害者は,役所に頼めば,住民票の閲覧・住民票や戸籍の附票の写しの交付は拒否されます。しかし,役所側のミスで誤って加害者に情報を開示してしまったということは実際にあります。
また,弁護士などの法律専門家は職務上の権限を使って,住民票や戸籍の附票の写しの交付を受けることができますが,事情を知らない弁護士などが加害者に騙されてあなたの住民票や戸籍の附票を入手することもありえます。
ですので,住民票を移さないと不便になりますが,住民票は元の場所に残しておきましょう。

郵便の転送

郵便の転居・転送サービスの利用もできれば避けた方がいいです。DV加害者が転居前の住所宛に,書留郵便やレターパックを送ると,転居先に転送されます。そして,DV加害者は,郵便追跡サービスを使うと,転居先の住所を知ることはできませんが,取扱郵便局までは知ることができます。取扱郵便局がわかると,転居先がある程度絞られてしまうので,見つかる危険性が高まります。

その他

最後に,私が担当したケースで,DV加害者に転居先がバレてしまったときのことを紹介します。
そのケースでは,DV被害者は家出する前に,某写真スタジオでDV加害者を含め家族全員で写真を撮影しました。その店は,1年後に写真データをCDに焼いて,もらうことができました。撮影の1年後,DV被害者が先にそのデータを転居先に送ってもらいました。その後,DV加害者がその店に写真データをもらいに行きました。当然,すでにCDは発送済みですので,加害者はもらうことができません。不審に思った加害者が店員に問い質したところ,その店員がCDの発送先の住所と氏名を教えてしまい,転居先がわかってしまいました。
このようなこともあるので,DV加害者が接触しそうなところに対しては,転居先の住所や,転居先のヒントになりそうな情報を知らせないように細心の注意を払ってください。